いわき明星大学

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人類・病原微生物との闘い

金 容必 教授  (専門分野:微生物薬品化学、分子生化学)

 微生物(目に見えないほど小さい生物の総称)は肉眼では見えませんから、私たちは普段、その存在を意識することはほとんどないでしょう。しかし、私たちの生活は微生物と共にあるといっても過言ではありません。身の回りのいろいろなところに微生物は存在していますし、なによりも私たちの体、すなわち皮膚の表面や口、鼻、のど、腸の中などに微生物が沢山存在しています。これらの微生物の多くは普段は何の害をもたらすことはなく、むしろ私達の役に立っているものが少なくないのです。身体の中にいる微生物は消化や生理的な働きを助けてくれるものがありますし、味噌、醤油、納豆、酒、チーズ、ヨーグルトなどなじみの発酵食品を作るには微生物の力を借りなければなりません。

 一方、微生物の中には私達の健康を脅かすのも無数にいることはご承知のとおりです。病原微生物ともいわれるこれら有害な微生物はすきまさえあれば常に私達の身体に侵入する機会をねらっています。病原微生物が原因でおこる病気を感染症と呼んでいます。近代医学の発達は、病原微生物との闘いの歴史であったとも言われています。18世紀後半、微生物が生物の一つとして地位を与えられて以来、人間に対して感染症を引き起こす病原微生物と人類との闘いは現在に至るまで非常に長い歴史があります。その中で最初に病原微生物を制圧する薬(化学療法剤)を発見した話から現在問題になっているAIDS問題や日和見感染症(特に多剤耐性菌感染症)を中心に解説します。

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