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平成23年度 第22回学位記授与式 卒業生代表 答辞

 冬の寒さも和らぎ、木々の芽吹きや吹く風の和らぎに春の訪れを感じられる今日、いよいよ私たちは旅立ちの日を迎えることとなりました。
 本日は、関口武司学長を始め、諸先生方、並びにご来賓の皆様方にご臨席を賜り、このように盛大な学位記授与式を挙行していただきまして、卒業生一同、心より御礼申し上げます。
 只今皆様からいただきました激励のお言葉が心に染みわたり、私たちは多くの人たちに見守られ、いわき明星大学を卒業していくのだと実感しております。同時に、これから自分が選んだ道を歩んでいくことに感じる多くの不安を希望や期待に変え、明日から始まる真新しい日々を全力で駆け抜けていかなければならないと思っております。
  思い返せば、卒業を目前にした日々の中、通い慣れたこのキャンパスに通うこともなくなり、ここにくれば会うことのできる友人に会えなくなることを思い、当たり前と感じていた日々が終わっていくことを漠然と感じていました。
そのようないつもと変わらぬ日々のなかで、忘れもしない1年前の3月11日、東日本大震災が日本を襲い、現在でも依然、収束することのない福島第一原子力発電所の事故が起きました。命の重さと日常の有り難みを知るにはとてつもなく大き過ぎる代償であり、「絆」という言葉だけでは片付けることはできないものでした。
 私が、いわき市を離れて避難しなければならないとき、家族を守るため、自らが生きるために懸命になっている多くの友人を残し、自分だけが安全な場所に避難することが、とても卑怯なことであり、後ろめたさすら感じました。そんな大切な友人をそばにいて励ますことすらも、ましてや助けることも、何ひとつすることができない自分の無力さに身体を、心をもがれるようなくらい何よりも辛いことだったのを覚えています。むしろ、地震が起きた直後から「生きてる?大丈夫?」と何度も連絡をくれ、原発事故が深刻になっていくたびに「もう大学へは通えなくなるかもしれない」と弱気になる私に「絶対にまた、大学で会おう」と力強く言ってくれた友人たちや後輩、先生方の言葉にどれほど支えられたことでしょう。震災のために散り散りになってしまった2ヶ月もの間、友人との心の距離を感じることは決してありませんでした。この忘れることのできない震災を通して、毎日ふかふかの布団で眠れることや、いつでも温かい食事を食べられること、たわいもない話で笑い合える友人がそばにいること、電話の向こうで家族の声を聞くことができること、ささやかな日常にこそ本当の幸せがあること、何ひとつ当たり前ではないことを、誰もが共通して感じたことだったのではないでしょうか。
 震災から1年が経過した今でも、いわき明星大学の学生や保護者の方々、教職員の方々の中にも、あの日から休むことなくずっと懸命に闘っている方々がおられると思います。私たちはこれから社会に出て働く者、大学に残り研究を続けていく者などさまざまですが、多くの者がいわきを離れ、それぞれが別々の場所で、来年の3月11日を迎えていることでしょう。しかし、どんな場所にいたとしても、福島に対しての心ない声を聞くことがあったとしても、私たちの心はいわきと共に、福島と共にあることをどうか忘れないで下さい。
 今日まで熱心にご指導下さいました先生方、親身になって相談にのって下さいました職員の皆様、力になって下さった多くの方々に厚く御礼申し上げます。皆様の声かけや寄り添いがあったからこそ、この日を迎えることができました。
 そして、どんなときでも陰ながら支えてくれた家族の応援を信じない日はありませんでした。実家に帰るたび、すこし小さくなったように感じる父の背中やいつも温かく優しい母の手を握るたびに、もっとしっかりしなければと自分の不甲斐なさや焦る気持ちに自分の成長が追いつかず、不安に押しつぶされそうになったこともありました。そのような葛藤を仲間と共に乗り越えてきた私たちの背中は、4年前の入学式のときよりも少しだけたくましく、立派になったのではないでしょうか。厳しくも優しく私たちの成長を見守ってくれた家族には、一生をかけてでも恩返しをしたいと決めています。両親のように、大切な人たちを自分の力で守れるほどに成長するにはもっと多くの時間がかかると思いますが、もう少しだけ待っていて下さい。
 私は、このように卒業生代表として壇上に立たせて頂き、答辞を読ませて頂いておりますが、決して皆様に自慢できるような立派なことを行ってきたわけではありません。今でも、私なんかがこのような立派な舞台で答辞を読んでいいのかと思っています。しかし、自分よりも大切だと思える友人たちと同じ時間を過ごせたこと、いつも陰で私たちの成長を見守ってくれた家族がいること、私たちをここまで成長させて下さった先生方、職員の皆様と出会えたことは私の人生のなかで恥じることのない唯一の誇りです。限りある貴重な人生のなかで私たちに出会ってくださり、本当に、本当にありがとうございました。
 最後になりましたが、被災地の私たちを支えてくださった多くの皆様方、日本全国、世界各国の皆様方に心から感謝を申し上げます。今日いただく学位記は決して私たちだけのものではありません。今まで復興に携わって下さった多くの方々に代わり、これから私たちが美しい東北を取り戻していくという被災地の私たちを支援してくださった皆様への決意の証です。それぞれが感じた震災の記憶を忘れることなく心に携え、何よりも目の前にいる人を愛おしみ、明日が訪れる幸せを噛みしめながら、輝かしい未来を最後まで全力で生き抜いて参ります。
いわき明星大学のますますのご発展と皆様方のご健闘とご多幸をお祈りいたしまして答辞とさせていただきます。

平成24年3月20日
平成23年度卒業生総代
いわき明星大学 人文学部 現代社会学科
遠藤 有唯

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