いわき明星大学

大学案内

学長告示(平成28年度 入学式)

平成28年度入学式 学長告示(平成28年4月3日)

 

いわき明星大学に入学された197名の皆様おめでとうございます。同時に、本日ご臨席の新入生の保護者の皆様にもお慶びを申し上げます。また本日ご繁忙の中、入学式にご臨席賜りました清水(しみず)敏男(としお)いわき市長はじめ多数のご来賓の皆様に教職員を代表して厚く御礼申し上げます。

まず、いわき明星大学の歴史についてご紹介いたします。いわき明星大学は昭和62年学校法人明星学苑によって開学されました。
そもそも学校法人明星学苑は、大正12年 児玉九十先生が東京・府中に創立した明星実務学校に始まります。同校は旧制中学、さらに戦後新制高校となり、昭和39年、明星大学が日野市に開設されました。そしていわき市が大学誘致活動を行った結果、明星学苑が市の誘致にこたえ、いわき明星大学として昭和62年(1987年)4月 理工学部、人文学部の2学部で発足しました。従いまして今回の平成28年度入学式は丁度節目となる第30回ということになります。理工学部は科学技術学部に改組、人文学部に心理学科を新設するなどの改革を行い、平成19年4月、3つ目の学部として6年制薬学部を開設しました。

平成23年3月の東日本大震災および福島第一原子力発電所事故の影響を大きく受けた本学は、地域の大学として特色ある教育研究および地域貢献に取り組み、地域の求める人材の養成を積極的に行う大学へとさらに転換を図るため、学部学科構成の抜本的な見直しを行い、平成27年4月には、科学技術学部の募集停止をするとともに地域基盤型職業人養成のため教養学部地域教養学科を設置しました。さらに平成27年9月には東京に法人機能を置く学校法人明星学苑から分離して、地元いわき市に学校法人いわき明星大学を設立し、地域に根ざした新たな学校法人が大学を運営する1法人1大学体制の下で、名実ともにいわき市を拠点とした地域に根ざした大学を目指しています。
本学はいわき市から提供をうけた約13万坪の広大な敷地の中に多数の関連施設を併設して、深緑に囲まれた喧騒とは無縁の絶好の学修・研究環境の中にあります。
本学を開設した明星学苑の校訓は「健康、真面目、努力」で、明るく、強く、正しい精神を体得させ、あくまでも良識と実践力のある心身ともに健全な生徒・学生の育成を目的としており、新法人いわき明星大学においてもこの校訓を継承して歩んでまいります。

さて、私は平成19年に開設された薬学部の教員として本学に赴任いたしました。新設された薬学部では「生徒から、自ら学ぶ学生へ」を一つのスローガンとして掲げ初年次教育を重視しています。これは初代薬学部長であった田中晴雄先生の優れた教育理念であり、卓見であったと思います。このスローガンはいまだ色あせていません。また薬学部固有の目標や方針でもありません。全学に共通することです。
知識は客観的なものであり、「事実」であると考えている人が多いと指摘するある認知科学の専門家がいます。例えばガリレオが天動説は誤りで地動説が正しいとした事実。ニュートンが物体の三つの法則を発見した事実。このような「事実」が「知識」であり、それをたくさん憶えることが大事であるという認識が、現在多くの人に共有されている「知識についての認識」、言葉を換えれば根強い思い込みの一つであると、この専門家は指摘しています。
私自身もこの陥穽、落とし穴にはまっていないとは残念ながら断言できません。その大きな理由は高校までの学習、受験、テスト文化が、「事実=知識」の収集に重きをおいているからでしょう。このような学習形態、学習手法からの脱却、克服が「生徒から、自ら学ぶ学生へ」ということに他なりません。
しからば知識が不要であるとか、知識を得ることを軽視している訳でもありません。先の認知科学の専門家の言葉を借りれば、狭い範囲の知識を深堀するだけでは不十分で、知識に幅がなければ、様々な状況で使える知識が足りないことになります。判断力や思考力を磨くためにも知識がなければなりません。
今、社会で課題解決能力や探究力が求められています。大学ではこの課題解決力や探究力を身につける必要があります。別に表現を求めれば、大学は探究できる人、言ってみれば探究人を育てなければなりません。大学は知識を憶える場ではなく、知識を活用するトレーニングセンターであり、探究する道場だと考えてください。

さる3月19日に行われた学位記授与式すなわち卒業式で、私は学長告辞の中で、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは変化できる者である」というダーウィンの言葉を引用いたしました。昨年日本にラクビー旋風を巻き起こした、優れた探究人でありまた同時に探究人育成の達人でもある名将のエディ・ジョーンズさんは、新聞記事によればイングランド代表監督としてインタビューを受けた際にこう言ったそうです。「私達人間は、楽な方に進みがちです。変化することは、いつだって難しいもの。だから、日々の生き方、考え方から変えていけたらと思っています。ほんの3-5%の小さな意識の変化。それが、大きな違いを生むのです」。

事実=知識ではないとしても、知識を吟味、選別できる知識を身につけ、その知識を活用して変化していくことが探究そのものであると思います。本日入学した学部生187名、大学院生10名、併せて197名の皆様は、小さいかもしれませんが地道な努力を続ける毎日を送り、有意義な4年または6年間の探究生活をいわき明星大学で過ごしてください。本日はおめでとうございます