いわき明星大学

大学案内

学長告辞(平成29年度 入学式)

平成29年度学位記授与式 学長告辞(平成29年4月2日)

 
 いわき明星大学に入学された262名の皆様おめでとうございます。同時に、本日ご臨席の新入生の保護者の皆様にもお慶びを申し上げます。また本日ご繁忙の中、入学式にご臨席賜りました清水敏男いわき市長はじめ多数のご来賓の皆様に教職員を代表して厚く御礼申し上げます。
 
 まず、いわき明星大学の歴史についてご紹介いたします。いわき明星大学は昭和62年学校法人明星学苑によって開学されました。そもそも学校法人明星学苑は、大正12年 児玉九十先生が東京・府中に創立した明星実務学校に始まります。同校は旧制中学、さらに戦後新制高校となり、昭和39年、明星大学が日野市に開設されました。そしていわき市が大学誘致活動を行った結果、明星学苑が市の誘致にこたえ、いわき明星大学として昭和62年(1987年)4月 理工学部、人文学部の2学部で発足しました。理工学部は科学技術学部に改組、人文学部に心理学科を新設するなどの改革を行い、平成19年4月、6年制薬学部を開設しました。
 平成23年3月の東日本大震災および福島第一原子力発電所事故の影響を大きく受けた本学は、地域の大学として特色ある教育研究および地域貢献に取り組み、地域の求める人材の養成を積極的に行う大学へとさらに転換を図るため、学部学科構成の抜本的な見直しを行い、平成27年4月には、科学技術学部の募集停止をするとともに地域基盤型職業人養成のため教養学部地域教養学科を設置しました。さらに平成27年9月には東京に法人機能を置く学校法人明星学苑から分離して、地元いわき市に学校法人いわき明星大学を設立し、地域に根ざした新たな学校法人が大学を運営する1法人1大学体制の下で、名実ともにいわき市を拠点とした地域に根ざした大学を目指しています。そして本年4月から新学部として看護学部を開設し、本日86名の看護学部1期生を迎えることになりました。

 本学はいわき市から提供をうけた約13万坪の広大な敷地の中に多数の関連施設を併設して、深緑に囲まれた喧騒とは無縁の絶好の学習・研究環境の中にあります。
本学を開設した明星学苑の校訓は「健康、真面目、努力」で、明るく、強く、正しい精神を体得させ、あくまでも良識と実践力のある心身ともに健全な生徒・学生の育成を目的としており、新法人いわき明星大学においてもこの校訓を継承して歩んでまいります。
 
 さて、事業や研究を成し遂げるのに必要な三要素として「運・鈍・根」がよく挙げられます。学業においても「運」はともかく、「鈍」と「根」が学業成就の秘訣ではないでしょうか。脳科学者の酒井邦嘉(さかいくによし)氏は「鈍」について、先の予想がつきすぎると結果のつまらなさや苦労の山にばかり意識が向いてしまって、なかなか第一歩を踏み出しにくくなることをあげ、氏の著作の中では寺田虎彦の随筆から次のような文章を引用しています。
 「所謂頭のいい人は、云わば脚の早い旅人のようなものである。人より先に人の未だ行かない処へ行き着くことも出来る代りに、途中の道傍或いは一寸した脇道にある肝心なものを見落とす恐れがある。頭の悪い人脚ののろい人がずっと後からおくれて来て訳もなく其の大事な宝物を拾って行く場合がある。(中略)怪我を恐れる人は大工になれない。失敗を怖がる人は科学者になれない(〔ママ〕)」。この引用の実際はもう少し長く、研究者としての資質に関する説明ですが、大学における日々の学習にも通底することだと思います。
 勿論「根」は根気、継続を指します。途中で投げ出さず、粘り強く、たとえ地味で泥臭い単調な作業であったとしても、自分が納得できるまで一つのことを続けていくことです。
 私は先ほど「運」はともかくと言いましたが、実は「運」も重要な要素であると思います。「運」すなわち「偶然」とすると、「偶然」というものは本来不合理あるいは不条理なもので、自分にとって好都合な「偶然」が幸福であり、不都合な「偶然」は不運ということに他なりません。人は生きていく中で、多くの「偶然」に影響されます。その場合なるべく事前に詳しく確率を計算し、期待効果が最大になるように行動することが合理的です。それでも幸福や不運は避けられませんから、幸福からはできるだけ多くの喜びを見いだし、一方不運のもたらす惨めさや悲しみはなるべく少なくすることが賢明です。またさらに言えば生命保険や損害保険ではありませんが、「運」や不運は他人と分かち合うことも可能です。
 繰り返しになりますが、「運・鈍・根」は事業や研究成功の秘訣なだけではなく、学習、学業成就の秘訣でもあります。また「運・鈍・根」は本学の校訓「健康・真面目・努力」と同義語、同一概念であるともいえます。
 
 本日入学した学部生256名、大学院生6名、併せて262名の皆様は、愚直かもしれないが地道な努力を続ける毎日を送り、「運」がたとえ不条理なものだとしても学友と分かちあって有意義な4年または6年間の大学生活をいわき明星大学で過ごしてください。本日はおめでとうございます。