いわき明星大学

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学長告辞(平成30年度 入学式)

平成30年度入学式 学長告辞(平成30年4月1日)

 
 
いわき明星大学に入学された250名の皆様おめでとうございます。同時に、本日ご臨席の新入生の保護者の皆様にもお慶びを申し上げます。また本日ご繁忙の中、入学式にご臨席賜りました清水敏男いわき市長はじめ多数のご来賓の皆様に教職員を代表して厚く御礼申し上げます。
 
 まず、いわき明星大学の歴史についてご紹介いたします。いわき明星大学は昭和62年学校法人明星学苑によって開学されました。

 そもそも学校法人明星学苑は、大正12年 児玉九十先生が東京・府中に創立した明星実務学校に始まります。同校は旧制中学、さらに戦後新制高校となり、昭和39年、明星大学が日野市に開設されました。そしていわき市が大学誘致活動を行った結果、明星学苑が市の誘致にこたえ、いわき明星大学として昭和62年(1987年)4月 理工学部、人文学部の2学部で発足しました。理工学部は科学技術学部に改組、人文学部に心理学科を新設するなどの改革を行い、平成19年に6年制薬学部を、平成29年に看護学部を開設しました。
平成27年9月には東京に法人機能を置く学校法人明星学苑から分離して、地元いわき市に学校法人いわき明星大学を設立し、地域に根ざした新たな学校法人が大学を運営する1法人1大学体制の下で、名実ともにいわき市を拠点とした地域に根ざした大学を目指しています。本学はいわき市から提供をうけた約13万坪の広大な敷地の中に多数の関連施設を併設して、深緑に囲まれた喧騒とは無縁の絶好の学習・研究環境の中にあります。

 本学を開設した明星学苑の校訓は「健康、真面目、努力」で、明るく、強く、正しい精神を体得させ、あくまでも良識と実践力のある心身ともに健全な生徒・学生の育成を目的としており、新学校法人いわき明星大学においてもこの校訓を継承して歩んでまいります。
 
 さて、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したアメリカの内科医にウイリアム・オスラーという方がいます。オスラーは優れた内科医としてばかりでなく、研究者、医学や看護学の教育者としてもまさに偉大な巨人であり、人道主義者として生きた人です。オスラーの伝記が1926年のピューリッツァー賞 伝記部門を受賞していることもあって、アメリカの医療従事者で知らぬものはいないと思います。ちなみにオスラーが残した最も有名な言葉は、「医学はサイエンスであり、かつアートである」です。
 
 オスラーの講演集は聖路加国際病院の故日野原重明先生の手により「平静の(穏やかで静かな)心」として、日本語版も出版されています。講演集「平静の心」の中に医学の座右の銘と題した講演記録があり、この時の講演の聴衆である母校トロント大学の医学生にある「合言葉」を贈りたいと述べ、この「合言葉」を座右の銘とし、その利益にあずかる者が出ることを期待したいと話しています。
 
 オスラーは「合言葉」とは何かと医学生に提示する前に、医学の進歩に大きく貢献した5人の例を挙げ、「合言葉」を説明していますが、本日は5人の内から2人について紹介したいと思います。
 
 まず血液が循環すること(大循環理論)を体系づけたハーヴェイについてです。『ハーヴェイはこの「合言葉」から霊感を得た。ハーヴェイが与えた衝撃は今日なおわれわれの中に脈打っている』。もう1人紹介するのは微生物による感染と腐敗を実証したパスツールです。『パスツールの手中にあっては、この「合言葉」は内科学と外科学に新天地を切り開く呪文の役割を果たした。それは進歩の試金石であったばかりか、日常生活における成功の鍵を握るものでもある』。
 
 やや回りくどくなりましたが、オスラーが言う「合言葉」とは「勉学」です。日野原先生は原書ではworkと書いてあったものを便宜上「勉学」という訳語を当てていますが、オスラーは「合言葉」をstudyとは述べていません。Workです。英語のworkという言葉の意味するところは非常に広く、何かを成し遂げるために、身体および精神を積極的に使うこと、労することを意味します。大きな英和辞書には、労働、努力、任務、勉学、生産活動、作品、著作、工事、善行、物理学的な仕事量などなど想像以上の多数の意味が載っています。日野原先生は数ある訳語から「勉学」を採ったのですが、「任務と努力」、「労と善行」とworkを訳出しても文脈を十分追うことができ、理解が可能です。
 
 オスラーが偉大な医学者5名を挙げて、後輩の医学生に「合言葉work」を座右の銘として贈ったのですが、僭越ながら私もオスラーに倣い本日の学長告辞として、全学部の学生にこの「合言葉work」を差し上げたいと思います。そして、workとは単なる労働ではなく、何かを成し遂げるために、身体および精神を積極的に使うこと、労することであり、「目的意識を内装した勉学」に他ならないと申し上げたい。
 
 目的、成し遂げたいことがないままの勉学は無意味であるとは断言できませんが、それは凡そ苦痛で、非能率で諸君たち若者のこれからの人生の糧になるとは思えません。本日入学した学部生242名、大学院生8名、併せて250名の皆様、いわき明星大学で学ぶ目的をすでに持っている人は、それを反芻して、まだ持っていないあるいは確信には至ってはいない人は目的を明確に定めて、「work、目的意識を内装した勉学」を「合言葉」として、有意義な4年または6年間の大学生活をいわき明星大学で過ごしてください。本日はおめでとうございます。