いわき明星大学2002年度後期 宗教社会学講義 木曜日4限 講師: 村上守行
スケジュール
1 回(9/26) 講義について
宗教社会学とは何か -- 社会学の基礎、宗教とは、行為としての宗教、エートス(生活態度)、スケジュールと中心概念、講義の進め方と受け方、単位の評価基準、テキストについて、ウェーバーと宗教
参考書:ウェーバー「社会学の根本概念」「宗教社会学」
2 回(10/3) 世界宗教のアウトライン
世界宗教を見る眼(救いの約束と担い手)、五大宗教(キリスト教、イスラム教、仏教、儒教、ヒンドゥー教)、その他の重要な宗教(ユダヤ教、ゾロアスター教、道教、神道)、創始者(イエス、ムハンマド、ブッダ、ゾロアスター、モーセ、バラモン、孔子、老子)、経典(聖書、コーラン、阿弥陀経や法華経、旧約聖書とタルムード、五経、老子、アベスタ、ヴェーダ)担い手(神父と牧師、ムフティとカディー、ラビ、マンダリン<士大夫>、坊主<僧>)、教え(信仰による罪からの救い、アラー崇拝と現世の幸福、輪廻からの解脱、忠孝による現世の幸福、よりよいカーストの生まれ変わり)
テキスト:橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 12、村上重良「世界の宗教」、ウェーバー「宗教社会学論選」序論
3 回(10/10) ガンジーとインドの宗教
インド独立の精神的指導者、非暴力不服従、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立、カーストの問題、アンタッチャブル(不可触賤民)、ジャイナ教、輪廻とバラモン
テキスト:村上重良「世界の宗教」、橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 124-129
4 回(10/17) ホロコーストとユダヤ教
ヒトラーのユダヤ人虐殺、ユダヤ人の知識人(アインシュタイン、マルクス)2000年間の離散放浪の中で民族性を失わないユダヤ人、自発的隔離、パーリア(しいたげられた民)身分、律法順守による尊厳感情、社会常識や秩序から自由な発想、ユダヤ人に対する反感(同化の拒否、二重倫理)、儀礼的特殊化、ラビの教育とユダヤ人の合理性
テキスト:橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 26-48
5 回(10/24) 聖戦テロとイスラム教
ビィンラディンの聖戦テロ、イスラム教の中心思想としてのジハード(聖戦)、戦士宗教、ムハンマド(マホメット)の政治預言、クルアーン(コーラン)、メディナ憲章、メッカ、カディー、アジアのイスラム教、
テキスト:村上重良「世界の宗教」、橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 101-120
(10/31) 休講
6 回(11/7) なぜ仏教はインドから消滅したのか
廃墟ルンビニの発掘、インド人から忘れられた仏教、特権知識人の宗教起源としての仏教、平民大衆の宗教性に対する無関心、仏教の特徴(模範預言、知的救済、無神論、不殺生、輪廻転生カルマ(因果応報)からの解放)
テキスト:橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 127-145
7 回(11/14) ゾロアスター教と日本仏教
浄土真宗と日蓮宗の独自性(初期仏教との違い)救世主、経典、使命預言、ゾロアスターの二元論(善と悪の戦い、天国と地獄)、アヴェスタ
テキスト:橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 145-194
8 回(11/28) ヨーロッパとキリスト教
「もしキリスト教がなければヨーロッパはインドのようになっていたであろう」(ウェーバー)、西洋文化の普遍性(合理性)、イエスの教え、新約聖書(パウロ、ヨハネ)、ヨーロッパにおけるキリスト教の受容、カトリック、ギリシャ正教、ロシア正教、修道院の展開、ドルイド教とヴァイキングの消滅、宗教改革と近代、皇帝教皇主義と教権制、ウェーバーの問題意識、近代は宗教改革から、仏教とキリスト教の違い
テキスト:橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 145-194
9 回(12/5) 資本主義社会とプロテスタント
資本主義経済の鉄の檻、ルターの天職観念、カルヴァンの預定説、プロテスタントの拡がり、救いにおける内面的孤独化、救いの確証としての労働成果(利潤)、贅沢の拒否と利益の生産に対する投資、ピューリタンの現世変革倫理、合理的預言の射程、合理化の終末、呪術からの解放
テキスト:ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
10 回(12/12) マッカーサーと政教分離
マッカーサーの宗教政策、アメリカ起源の国家と宗教の分離、プロテスタントのセクトとアメリカの民主制、セクトの反権威主義と普遍主義の放棄、人格審査、排他的選抜と普遍主義の放棄、良心の自由、倫理的人格観念の発達、憲法の確立、教会とセクト
参考書:「セクト、教会および民主制」(支配の社会学 II、創文社)
11 回(12/19) 中国人のエートスと儒教・道教
孔子、中国皇帝、治水と官僚制の発達、文人の身分倫理、来世拒否、現世適応倫理、呪術と祖霊崇拝の保持、礼と孝、審美的志向、人間関係中心主義、預言の欠如
テキスト: ウェーバー「宗教社会学論選」儒教とピュウリタニズム、橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 195-215
12 回(1/9) まとめ(1)
呪術と宗教の区別、宗教の3要素(礼拝、倫理、救い)、預言者とは誰か(平信徒、個人的カリスマ、無報酬、理解と倫理の重視、感情的デマゴーグ、理想の追求、啓示、統一的意味)(孔子、老子、ソクラテス、モーセ、ルター、麻原彰光)、使命預言と倫理預言、呪術師、祭司、預言者、魂の世話人、身分と宗教(平民と貴族、パーリア、市民の合理性)
参考書: ウェーバー「宗教社会学」
13 回(1/16) まとめ(2)
救いの道、自力救済(儀式、社会的慈善、自己完成)、他力救済(教会、信仰、預定)、支配と宗教(皇帝教皇主義、教権制、神権政治、教会とセクト、政教分離)、宗教意識(達人と大衆、禁欲と神秘)、現世に対する態度(肯定と拒否、逃避と変革)
参考書: ウェーバー「宗教社会学」