世界宗教の社会学入門 第5回 (2002/10/24) 

聖戦テロとイスラム教


テキスト:橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 102-121

1. 聖戦テロ
テロ=手段を選ばず相手の意表をついて敵を無差別に殺すこと。2001/09/11の奇襲自爆テロはイスラム原理主義者のアメリカに対する聖戦、イスラム教の中心思想としての聖戦(ジハード)=異教徒に対する戦いは神アッラーの聖なる命令、殉死=死の意味の自覚と使命感、神のために死ぬことは最高の名誉であり、生きがい。神風特攻隊との比較。自殺者との区別。
2. イスラム教とは
通俗的... ムハンマドが啓示した神アラーのみが唯一の神と信じ、ムハンマドの教えを守り行う宗教。
社会学的... ムハンマドの政治的預言に基づく戦士宗教です。
ムハンマド(570-632)...メッカの商人、40才でアッラーの啓示によって布教、622年メディナの氏族抗争の調停者として招かれる(ヒジュラ)、メディナ憲章によって政治的指導者となる、630年メッカを征服。
コーラン(クルアーン)... ムハンマドの預言集、聖書にまねて作られる。
初期担い手戦士... 戦士共同体として始まったイスラム教。

3. イスラム国家の神権政治と教権制
イスラム国家の変遷... ムハマド帝国、正統カリフ(神権支配者)、ウマイヤ朝、アッバース朝、ファーティマ朝、ブワイフ朝、セルジューク朝(スルタン支配)、カラ・ハン朝、、アイユーブ朝、マムルーク朝、ガズナ朝、ムガール帝国
神権政治とは宗教指導者が政治権力も一手に治めて単一支配すること。政治権力とは物理的強制手段(警察や軍隊)を行使する力。
教権制とは宗教権力者と政治権力者が相互に依存・妥協しながら別々に支配する体制。
4. 預言者とは... 新しい啓示を無報酬で教えるカリスマ的個人
巫女(神託者)・占い師(先見者)は報酬をもらって顧客にバラバラな将来を予測する。そこには「すべての人に向けられた神の統一的な命令」や「世界と人生の統一的な意味」を教える「啓示」が欠ける。
祭司(神父・牧師・住職)は報酬をもらって信者に聖典(過去の啓示集)の知識を教える組織の一員。彼には「新しい」啓示がなく、カリスマ的単独者でもなく、組織によって資格を与えられた団体の一員である。 
5. 世界の観光名所は宗教的建造物
ピラミッド(エジプト)、タージマハル(インド)、万里の長城(中国)、パルテノン神殿(ギリシャ)、ジグラッド・バベルの塔(メソポタミア)、ポタラ寺院(チベット)、アンコールワット(カンボジア)、仁徳天皇陵(日本)