世界宗教の社会学入門 第7回 (2002/11/14) 

日本仏教とゾロアスター教


テキスト:橋爪大三郎「世界がわかる宗教社会学入門」p. 145-194

1. 日本仏教の独自性
信仰のみによる救いを唱えた親鸞(しんらん)他力救済はブッダの知的瞑想による自力救済とは正反対の教えです。親鸞は中国で展開した浄土宗(阿弥陀仏への信心によって西方浄土へ救われる教え)を徹底し、一切の善行や修業を救いの道から取り除きました。その結果親鸞は僧院(出家)を無価値とし、世俗の中(在家)で妻をめとって教えを広めました。
仏の使者として法華経のみを真理と唱えた日蓮の使命預言はブッダの模範預言とは正反対の預言です。
2. ゾロアスター教と日本仏教の関係
浄土宗はゾロアスター教に起源した仏教... 阿弥陀仏(Amitabha)はゾロアスター教の神が仏の一人となったもの、西方浄土とはペルシャ・メソポタミアの楽園がイメージされたもの、そして何よりも天国と地獄や終末の信仰はゾロアスター教起源で、インドの輪廻・因果応報信仰とは別のタイプです。
日蓮宗の経典、法華経に使命預言の契機...  日蓮の使命の自覚は法華経に基づきます。そして法華経にも終末(末法)や天国地獄の思想といったゾロアスター教のえいきょうが認められます。ただし、それ以外の要因(日蓮の身分、都市階層の宗教性、大衆宗教性、反宗教改革)も日蓮の独自性には重要です。
3. ゾロアスター教とは
通俗的には... ペルシャのゾロアスターが創始した、アフラマズダ神を信じる宗教です。
社会学的には... ゾロアスターの使命預言に基づく二元論の宗教です。二元論とは、この世は善と悪、光と暗黒といった対立する二つの原理(神)によって成立しているとする考え方です。そこから最終的(最後の審判)には善(光)が勝利し、悪は亡ぼされる(地獄に閉じこめられる)という帰結が生まれ、終末や天国と地獄の思想が展開しました。
ゾロアスター(660 BC-583 BC ?)... ペルシャ東部に祭司族の子として生まれ、メソポタミア文明のえいきょうを受けます。その後、創造神(アフラマズダ)の啓示を受け、ペルシャ西部で伝道を始めます。遊牧民の非倫理的宗教や生活態度(飲酒、食肉、セックス狂騒)に対して預言者として戦いを始め、最後は敵に殺されました。しかし彼の預言集(ガーサ)は信者に受け継がれ、ササン朝ペルシャにおいて国教となり、経典アヴェスタが作られました。
初期担い手... 貴族

4. 使命預言者と模範預言者
使命預言者とは、神(仏)の新しい教えや意志を預かり、それを大衆に命じる人。
模範預言者とは、新しい宗教的啓示を自らの模範によって教える人。啓示とは世界と人生の意味や救済の把握の事です。模範預言の対象は主に達人であり、大衆へのえいきょうは消極的なものにとどまります。